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亖:この漢字読めますか?(後編)

ローマ数字を見てみると、I、II、III、IV。そう、漢字だけではないのです。

 

漢字とローマ数字が共に4以降で表記法を変えていることから考えて、「線4本は何か嫌だな」という万国共通の心理があるのではないでしょうか。

 

「4」は「IIII」で表さないのかというと、時計の文字盤には「IIII」がよく使われます。線4本表記がわずかに生き残っているということです。

 

じゃあ「四」って何なんだ?って話ですが、やっと

なぜ歯医者のブログでこの話をしたかということにつながります。

 

「四」はもともと「口の中に歯や舌が見える様子」を表した漢字で、本来の意味は「息」。全然4じゃない。ここで思い出しましょう――「亖」は「シ」と読む漢字でした。ここから何が分かるでしょうか?

 

ある日の古代中国で、こんなことが起こったのです。

 

「――亖はシって読んで、四の読みもシ。ってことは、数字の4を表すときに、亖じゃなくて四を使ってもいいんじゃないかな?」

現在で言う「当て字」です。音が同じだから、別の漢字を使ってもいいや。古代中国ではこんな考え方がまかり通っていたのです。

この「字の転用」のことを「仮借(かしゃ、かしゃく)」といいます。

この仮借により、もともと全く「漢数字として作られていなかった四」が「4」の意味で使われ始めたのです。

いきなり違う意味に抜てきされた「四」は、「亖」の不人気も手伝い、次第に「漢数字の4」としての立場を確立していきます。

 

 

 

「亖」と「四」のその後

まず、「亖」はほぼ絶滅し、漢字辞典に載っているだけの存在になりました。

一方、「四」はご存じの通り現在に至るまで「4」の意味で使われています。この「四」、もともとの「息」という意味では使われなくなりました。皆が「四は4って意味でしょ」と思うようになったからです。

そのため、「息」を表す別の漢字が作られました。分かりやすさのために口へんを付けて「呬」。読みは「キ」です。